みなさんこんにちは。とんかつです。
今日は気胸の治療方法と再発率についてお伝えします。
気胸の原因・種類・症状、手術についてはこちらご参照ください。
気胸の治療方法
気胸の治療法には最初に選択される治療とあとから追加で行われる治療があります。
最初に行われる治療は2つあります。
- 保存的治療
- 胸腔ドレナージ(脱気)
保存的治療
保存的治療は気胸が軽度の場合。具体的にはレントゲンで肺が鎖骨より上にある場合はなにもせずに経過をみることになります。
通常入院はせずに外来で改善するのを待ちますが、時折急激に気胸が進行することがあり注意が必要です。夜間であっても急に息苦しさが悪化した場合などは救急外来受診や、本当に苦しいときは救急車を呼びましょう。
胸腔ドレナージ(脱気)
気胸になったときにこの治療をされた方は沢山いらっしゃるのではないでしょうか。
これは、中等度から高度に肺が虚脱、つまりレントゲンで鎖骨より下に肺がしぼんでしまった場合に行われます。
胸腔ドレナージとは、局所麻酔(歯医者さんの麻酔と同じです)を行って、胸を1~2㎝切開し、小指くらいの管(胸腔ドレーン)を挿入します。
局所麻酔を行っているため、切開する場所は痛くないのですが、胸の中に管があたると痛みを感じることもあり、痛み止めを内服して対応します。
また、外来で針を刺して空気を一時的に抜いて帰宅する脱気という処置をすることもあります。
最初に気胸と判明した場合はこのどちらかの治療が選択されます。
保存的治療や胸腔度ドレナージで治らない場合
保存的治療や胸腔ドレナージで治らない場合には追加の治療が必要になります。
また空気漏れがとまったとしても追加治療をすることがあります。
追加治療の代表的なものとしては
- 手術
- 胸膜癒着術
手術
気胸が治らないときに手術を行うことがあります。
まず、手術適応といって、手術をお勧めする状態には以下の5つがあります。
それぞれを説明していきます。
空気漏れが続く場合
空気漏れが続く場合、通常は胸腔ドレナージが行われています。
空気漏れが止まらない限り胸腔ドレーンが抜けないため退院できません。
そのため空気漏れが続く場合は手術もしくはそのほかの方法で空気漏れを止める必要があります。
再発した場合
再発率のところで詳しく説明しますが、気胸は再発しやすい病気のため、再発した場合は手術をお勧めします。
両側気胸になった場合
両側気胸になった場合は、両側の肺虚脱から気胸の種類のところでお話しした緊張性気胸となり命に係わる可能性が高いです。そのため、手術をお勧めします。
気胸に加え血胸になった場合
気胸は肺に穴があく病気ですが、時に出血をすることがあります。
胸の中は抑えることができず、また息を吸うため陰圧となるため出血がとまりません。
そのため気づかないうちに大出血となり緊急手術となります。
手術を希望した場合
手術を希望した場合は手術を行います。
なぜ、手術を希望するかはこの後に説明する再発率が関係してきます。
胸膜癒着術
胸腔ドレーンから胸の中に薬を入れて肺と胸壁をくっつける治療です。
手術に耐えられる患者さんにはこの治療はおすすめできません。
理由は、確実性が劣ること、万が一穴が開いている部分はくっつかず、そのほかの部分がくっつきあとから手術になった場合は非常に難渋する手術となります。
気胸の再発率
ここで気胸の治療に大変重要な再発率についてご説明します。
気胸は非常に再発しやすい病気です。
研究によって多少のばらつきはありますがおおむね
1回起きて保存的治療や胸腔ドレナージだけで治った方が2回起こす確率が50%。
2回起こした人が良くなった後に3回目を起こす確率が80%と言われています。
では、手術をして治してしまえばいいのではと思うかもしれませんが、手術をしたとしても、再発率は10%程度あります。
さらに、胸膜癒着術は30%程度の再発率があります。
そのため気胸には必ず治せる治療法がなく、治療の目的はいかに再発率を下げるかになります。
気胸の治療の目的はいかに再発率をさげるか!!
そのため、手術適応の再発した場合の理由として、1回目は50%は治るけど、2回目はまたなる可能性が高いということになります。
また、希望する場合というのは、受験生であったりした場合、テスト前に気胸になる確率をさげるために手術を行うということもあります。
まとめ
気胸の治療や再発率についてまとめました。
多くの気胸はすぐに治ることが多いですが、再発を繰り返し非常に難渋する場合もあります。
もしなってしまった場合は、主治医の先生としっかり相談し最適な治療を受けましょう。
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