こんにちは。とんかつです。
ニュースで大津市民病院の外科・消化器外科・乳腺外科医師9名脳神経外科5名が退職するというニュースが報道されておりました。
総合病院に勤務するとんかつ私にとっても、対岸の火事ではないと思いみておりました。
では、なぜ、滋賀県の出来事が対岸の火事ではないのか?医療界の学閥を説明したいと思います。
【注意】私は当事者ではないので、あくまでも医学界の一般論をお伝えしております。そのため、大津市民病院の内情については部外者でありわかりません。その点を注意してご理解ください。
大津市民病院外科医退職
多くの報道でご承知のかたも多いかもしれませんが、滋賀県にある大津市民病院で医師の大量辞職の問題が生じました。
各種報道をまとめますと京都府立医科大学出身の理事長が、京都大学からきている外科の医師に対し
『京都府立医大の医師とかわったらどうか』
などと発言し、退職に追い込んだとのこと。
また、脳神経外科の医師に関しても退職に追い込んでいるとのこと。
こんな報道がされておりました。
京都新聞記事 医師大量退職の大津市民病院、さらに5人辞意 「病院幹部がパワハラ」|主要|地域のニュース|京都新聞 (kyoto-np.co.jp)
本日は、医療界における学閥について説明したいと思います。
学閥
学閥とは?
学閥(がくばつ)とは、特定の職域や組織において、ある学校の出身者同士が形成する校友組織や派閥互助組織。
wikipedia 学閥 – Wikipedia
うーん、つまり同じ学校の出身者が手を組むってことか・・・病院って学校じゃないけどな・・・
医学界の学閥とは、大学の医学部を頂点とした組織のことです。
正確には、大学にはかならず大学付属の病院があります。その付属病院の各科(消化器内科、呼吸器内科、消化器外科など)の教授を頂点とした集団をさします。
ただし、その教授が違う大学の学閥のことも多々あり。
大学病院に就職=入局
なぜ学閥が必要になるかというと、医者は医学部を卒業して、国家試験に受かっただけでは何もできません。
一人前の医者になるためには、数年から十数年かかります。
つまり修行する場が必要になります。
修行には、かならず師匠が必要になるため、どこかに弟子入りをするといった構造が必要になります。
それを担うのが大学病院の各科で、
とんかつ大学のきゃべつ科にはいります。お願いします
といった形で弟子入り(就職)します。
就職したら一人前にしてあげるから、労働力として頑張ってくれ
就職した人からしたら一人前にしてもらえる利点があり、大学からしたら労働力となる利点があります。
通常医者は初期研修医が終わったら大学の医局には就職する(入局)。
ただし、最近は研修制度がかわった影響などもあり、大学に就職しない医者もいる。
ただ大学としてもずっと大学病院だけに勤務をさせておくと、人数が増えすぎてしまうという問題もあります。
新しい病院をつくる
どこかの地方に病院つくりたい自治体や個人がいたとします。
しかし、その地方には医学部はなく、医者がいません。
どうするかというと、大学病院の教授に対し、
うちの地方にあたらしくチキンカツ病院をつくるからきていただけないか。来てくれれば部長職を用意します
とお願いをするわけです。
いい条件であれば大学としても増えた人員を、●●病院部長などとして栄転させることができるし、
病院としても、科が作れるのでお互いwin-winとなるわけです。
病院を作っても医者がいないと始まらない。医者を送ってもらうためには大学(教授)にお願いに行く。
それ以降も、同じ大学先生にかわるがわる来てもらうことによって、大学としてはポストを確保でき、病院としては常に医者がいる状態を維持できるとなります。
このような場合、面白くないのは近隣の違う大学です。
つまりは、近隣の大学もチキンカツ病院で働かせたいな~と思っても、うちはとんかつ大学の先生がきてるからはたらけませんといったことがおきます。
実際私の病院でも、就職希望の先生がきたときに大学にお伺いをたてて拒否したことがありました!!
これが、大学病院の教授を頂点とした学閥です
まとめ
・医者の世界には各大学病院の教授を頂点とした学閥が存在する
・地域の●●市民病院のような病院であったとしても多くの場合、医者はどこかの大学から派遣されてきている。
医者の裏側ではこのような政治的なことが行われているのです!!
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